ブラジルのお洒落な眼鏡屋さん

A arquiteta Marina Moraes, o engenheiro Pipa Barros e o gerente de Alexandre Peres, da Artyeto

今月6日付のサンパウロ新聞の記事でこんな記事がありました。

「木製の眼鏡フレーム、製作会社の売り上げ増加」

一行目はこうです。

ブラジルでは木製の眼鏡フレームが秘かなブームを呼んでいる。6日付フォーリャ紙(ウェブ版)が報じた。

面白い、と思ったので、いったん最後まで読んだ後で、情報元とされているフォーリャ紙の記事を検索してみました。こちらです。ちなみにこのフォーリャ紙は正式名称が「FOLHA DE S.PAULO」(フォーリャ・デ・サンパウロ)で、1921年創刊。発行部数42万部はブラジル国内紙で最大です。名前の通り元々はサンパウロ州の地方紙だったのですが、1980年代に国を代表する大手紙へと成長したとのことです(参考:クーリエ・ジャポン公式サイト)。「folha」という単語自体は元々植物の「葉」のことなのですが、それが転じて紙の一片、ページ、1枚、あるいはテクスト等の意味も含みます。つまり「新聞」のことです。

記事の検索は「folha」(フォーリャ)「óculos」(メガネ)「madeira」(木材)の3つの単語を入力したら、一番上に探していたリンクが出てきました。語学学習、ポルトガル語習得に興味のある方は、今ここに書いた単語は意識して一度頭にインプットしてしまってください。「folha」の説明もです。「暗記するぞ」と気合いを入れる必要はないですが、「なるほど」という気持ちで「一度頭にインプット」することが大事です。話が長くなるので今回は理由まで説明しませんが、「日本語の情報の中にチョロっと含まれる外国語の知識」をうまく拾うのは、効率良く語学力を上げるための秘訣の一つです。ご参考までに。

さて、なかなか本題に辿り着きませんね。ここからようやくメガネの話です。記事の内容を思い切り要約すると、「ブラジル国内に木製の眼鏡フレームをひとつひとつ丁寧に手作りしている新興ブランドが幾つかあって、最近人気と売上が上昇している」ということです。で、僕が元記事を検索したのは、詳しい情報を知りたかったと同時に各ブランドの自社サイトを見たかったからです。ブランド名のポルトガル語の綴りを知るための確実かつ手っ取り早い方法は、元記事にあたることです。綴りが分かれば検索は容易です。便利な時代ですね。ある意味恐ろしい時代です。

というわけで、それぞれのブランドを紹介します。ブランド名あるいは写真をクリックしたら公式サイトが開きます。形のある製品のサイトなので、ポルトガル語が分かる必要はありません。製品と、サイトのデザインセンスを楽しんでもらうことを意図したご紹介です。ちなみに値段ですが、ブラジルの通貨を表す「R」は「real」(ヘアウ)の頭文字です。複数形だと「reais」(ヘアイス)になりますが、日本語の一般的なカタカナ表記では単数複数関係なく「レアル」になります。最近のレートだと1レアルが約40円です。どちらのブランドも眼鏡は大体1個375〜450レアルですので、まあ15000〜18000円と考えてくださったらよいです。それではお待ちかねのブランドサイトのご紹介です。

1. leaf(リーフ)

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16人の男前な職人たち(サイト内にお洒落でお茶目な写真があります)が、ひとつひとつ手作りで製作しています。木材は全てブラジルの国産です。「私達は『工場』ではありませんし、そうなりたいとも思いません。私達はその全ての仕事において安心してお任せいただける、32本の手なのです。」というメッセージが素晴らしいです。

メガネ屋さんとして紹介していますが、ヘッドフォン、スマホ・タブレットケースの他、財布や靴も作っています。スマホケースも上品で好きですが、個人的に最も衝撃的だったのはヘッドフォン!これはかっこいい!値段は17000円前後ですが、「Vale a pena」(ヴァレ・ア・ペナ:代価を払うだけの価値がある、という意味のポルトガル語。めっちゃ便利な表現で、よく使われます)でしょう。だって見てくださいよこれ。

はい、かっこいい!僕自身は昔から専らイヤフォンで音楽を聴く方ですが、こんなモノを見せられるとライフスタイルの転換を迫られます。この2年程で売上が倍増したとのことですので、職人さんの身体に無理が生じない範囲で是非今後も頑張ってほしいです。

2. Artyeto(アルチエト)

こちらは、僅か1500レアル(6万円相当)の資本金でスタートした、夫婦による小さなブランド。本記事の最初の写真の3人組の両端のお二人です。また最初に戻るの面倒だと思いますので同じ写真もう一度載せます(写真はフォーリャ紙より拝借)。

A arquiteta Marina Moraes, o engenheiro Pipa Barros e o gerente de Alexandre Peres, da Artyeto

中央の方はエンジニアさんだそう。素敵なチームの雰囲気ですね。楽しそう。このブランドは少人数ということもあり、ほぼメガネに特化して生産しています。最初にご紹介したサンパウロ新聞の翻訳記事にもありますが、最初は眼鏡1個の製作に1週間以上かかっていたところを、頑張って1日13個までペースを上げたそうです。この人数で丁寧に眼鏡を作っては売ってという、商売の原点のようなスタイルで、売上は昨年度だけで23万レアル(約920万円)。めっちゃ頑張っています。こういう人達に収入面でも結果がついてくるのは嬉しい限りです。彼らにも是非頑張ってもらいたい。

また彼らのサイトでは眼鏡作りの過程を写真付きで紹介しています。こちらもポルトガル語分からなくても雰囲気を楽しめると思いますので、是非。

以上、サンパウロ新聞の記事をきっかけに、ブラジルのお洒落で素敵な眼鏡ブランドと出会ったお話でした。個人的には日本でも愛されるブランドになるんじゃないかと思うのですが、いかがでしょう?

追伸

ところで、元記事のフォーリャの方ではもうひとつ「Livo」という別の手作り眼鏡ブランドの紹介もしていたのですが、こちらはイタリア産の特殊なプラスチック材を使用しているようです。勿論これはこれでアリだと思いますが、本ブログでは木製の眼鏡ブランドへの個人的興味で書いているという理由と、僕がそろそろ書くのに疲れてきたという理由で(すんません)、割愛しました。一応リンクはこちらです。最初に紹介した2つより低価格の商品もあるようです。それと、眼鏡1個売れるごとに本を1冊寄付してブラジルの識字率向上に貢献するというプロジェクトを同時に行っているところに好感が持てます。このプロジェクトは「UM LIVRO POR LIVO」という名前で、本を表す「livro」とブランド名の「livo」の組み合わせで言葉遊びになっています。眼鏡1個で本1冊という寄付スタイルは地に足が着いた感じがしますね。ていうか、結局紹介してますね。よかったよかった。せっかくなので写真も載せておきます。「Livo」を愛用する女性達。

Livo

はい、この話はもう書かない!疲れた!目が疲れないお洒落な手作り木製メガネが欲しい!度が入ってないやつで!