おはようございます。前回は真面目な教育論でしたが、今回はお洒落な音楽のお話です。今朝ご紹介するのは、言わずと知れたあの名曲『スタンド・バイ・ミー』です。但し、皆さんご存知の原曲の方ではなくて、タイトルにある通り「甘美でお洒落なラテン版」の方です。ラテン音楽といっても細かく分けると色々なジャンルが存在しているのですが、この度ご紹介するのは「bachata(バチャータ)」という、カリブ海地域のドミニカ発祥の音楽です。甘美な歌声とパーカッションのリズムの絶妙な調和が魅力で、男女ペアで踊るダンスは色々あるラテンダンスの中でも激しい部類に入りますが、これが本当にかっこいいんです。というわけで御託はこれくらいにして、音楽にいきましょう。こちらです。
聴いていただけましたか。あ、どうぞ気に入った方は何度でも再生してください。そのまま音楽の世界に浸っていただいて構いません。これがラテンですよ。歌っている彼はPrince Royce(プリンス・ロイス)といって、ニューヨークのブロンクス出身のシンガーソングライターです。なのでいわゆる「アメリカ人」ということになるのですが、やはりというべきか血筋はドミニカ系で、完全にバチャータの魂の持ち主です。今調べたら、ちょうどこの夏に初の英語アルバムで全世界デビューというニュースが出ていますね。売れるべくして売れてます。ただ、この「英語アルバムで全世界デビュー」というのは要注意で、世界に彼の名と曲が知られること自体は素晴らしいのですが、やはりどうせなら彼の音楽ルーツである「スペイン語のバチャータ」がより聴かれていくほうが嬉しいですね。シャキーラ(コロンビア出身の女性歌手)なんかもそうなのですが、やはりスペイン語と英語では全然歌の趣が違います。僕自身は小学校高学年くらいから英語の曲をずっと聴いていて、大学生になってスペイン語の世界と出会うまでは「洋楽=英語」だったという人間ですし、決して英語の歌がダメだとは思っていません。むしろ名曲数知れずだと思っています。それでもやはり、ラテンの歌手についてはスペイン語曲の方が圧倒的に良いという意見はなかなか譲れません。特に「情」を表現して訴えかける力においては、スペイン語は本当に素晴らしいです。例えば温もりを伴った切なさとか、そういうのです(よく「ラテン=情熱」みたいに言われますが、個人的には「熱」も含めたあらゆる「情」を表現する力がラテンの真髄のように感じます)。ちなみにこのプリンス・ロイスのバチャータは、聴いた感じの印象ではR&Bのテイストをかなり含んでいるので、元々英語でR&Bを聴いている人には入っていきやすい曲が多いと思います。今回は『スタンドバイミー』を紹介したかったのでロイスについて書いていますが、本来バチャータについて書くなら先に紹介すべき男はもう一人別にいるので、次回はその人物について書きます。
さて、『スタンドバイミー』に話を戻します。本記事の前半で「バチャータはダンスもかっこいい」旨を記しましたが、これはもう観てもらった方が早いので、こちらの動画をご覧ください。
もう説明不要ですね。これがラティーノです。世界の広さと多様さも同時に教えてくれる動画です。日本はあとちょっとだけラテン化すれば本当に世界一住み心地の良い国になれると思うのですが、いかがでしょう。この「ちょっとだけ」というのがポイントなのですが、そんな日本になったらいいなといつも思っています。きっと不可能ではないはずです。
さてさて、このラテンな『スタンドバイミー』に関して、最後にもう一つ素敵な動画をご紹介します。オランダ発祥の「The Voice」というオーディション番組の子供版「The Voice Kids」のアメリカ合衆国スペイン語版である「La Voz Kids(子供の歌声)」という番組において、11歳の少年がこのロイス版『スタンドバイミー』を歌ったものです。で、3人いる審査員の一人が何とロイス本人!少年のパフォーマンスもさることながら、背中を向けてその歌声を聴くロイスの表情がまた素晴らしく、心温まります(歌は最初の2分だけであとはトークです。同じく心温まる内容なのでスペイン語学習者は是非)。
以上、バチャータ版『スタンドバイミー』のご紹介でした。
最後の最後に、本家本元の英語曲をご紹介して終わりにします。やはり原曲も素晴らしい。流石です。というわけで、皆さん良い一日を!
【プリンス・ロイスのCD】