水木しげるさんを偲ぶ

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水木しげるさんがご逝去されました。昨日11月30日午前7時18分、東京都三鷹市の病院内で息を引き取られたとのことです。一昨年のやなせたかしさん、昨年のガブリエル・ガルシア・マルケス氏に続いて、今年もまた一人、人類社会が生んだ偉大な表現者がこの世から旅立ってしまいました。心に穴が空いたような気持ちです。「いなくなって初めて(あるいは改めて)分かる存在の大きさ」という言葉がありますが、この御三方のご逝去はいずれも、自分でも思ってもみなかったような静かで深い衝撃がありました。繰り返しになりますが、文字通り「心に穴が空いた」ような感じです。

鳥取県境港市出身。漫画家としてのご活躍は言うに及ばずですが、「ないない尽くし」の鳥取県にひとつの大きな「ある」をもたらした偉大な愛郷者でもありました。現在では全国的に知られる観光地となった「水木しげるロード」が同市にオープンした時、僕は小学生でした。今思えばやはり地元ですね、鬼太郎や水木さん関係の話題やニュースが自然と入ってくる環境に育ちました。サッカーの大会でねずみ男のステッカーを貰ったり、鳥取駅構内のマクドナルドがまさかの鬼太郎ショップに取って代わったり、地元プロサッカーチームガイナーレ鳥取のGK応援チャントに「ぬりかべ」という単語が入っていたり、鳥取県内で生活していると何らかの形で鬼太郎や水木さんにまつわるものと出会う機会が多くなります。学生時代に帰省から再び東京へ戻る時は「目玉おやじドリンク」等の妖怪関連の品をお土産にすることも多かったです(そういえば僕はまだ一度もこのドリンク飲んでません。ジュースだったみたいですが、どんな味だったんだろう)。こうして思い出してみると、自分が生まれ育ち、今も再び暮らしている鳥取という環境において「妖怪カラー」「水木カラー」が殆ど空気のように自然にそこに在ったことに気付かされます。恐れながら水木先生ご自身の言葉を借りれば、お陰様でオモチロイ場所で育ったものです。

ところで上の写真は、前回の記事でもご紹介した鳥取の地元紙日本海新聞の、本日の一面です。ご覧の通り最大級の扱いです。この一面の他、同紙は5面に渡って水木さんの特集を組んでいます。こういうニュースですので、写真で全部ご紹介します。

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この土地において彼がどれ程偉大な存在であったか、この新聞報道の大きさからも伝わることと思います。彼がその活性化に尽力してくださった境港市も、鳥取県も、あるいは日本社会も、彼から大きな宿題を残されたと言っても過言ではないでしょう。彼亡き今後もこの地域、この社会をずっとオモチロイ場所として育て、また保っていけるかどうかは、今もこの世に生きる我々にかかっています。僕もまず自分自身がもっともっとオモチロイ男になれるよう精進せねばなりません。

オモチロイ人々が織りなすオモチロイ社会。それが残された僕らが目指すべき人間と社会の在り方だと、思いを新たにさせられました。故人の魂よ安かれ。これまで同様、愛すべき妖怪達と共にこの世を笑っていてください。

哀悼と共に。