飛行機で仲良くなったポーランドっ子が鳥取にやって来る(3)

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はい、前回・前々回と2回に渡ってお届けした「ポーランド姉妹の鳥取ツアー」第3回です。

今年2月にドバイ経由でブラジルに行った帰りに乗った飛行機の客室乗務員だったマルレーナ(ドバイ在住)と、その妹ヘレナ(ポーランド在住・高校生)の2人が、約1週間の日本旅行の最後の2日間を使って鳥取に遊びに来てくれました。その前に立ち寄った東京で、知り合った日本人に鳥取訪問の予定を伝えるたびに相手が衝撃を受けていたそうです。どんまい東京人。

さて、2日間の日程のうち、1日目は以下のスケジュールで案内をしました。

軽くドライブ(らっきょう畑→砂丘道路→砂丘)→地元の喫茶店→鳥取港海産物市場(の中にあるジェラート店)→100円ショップ(イオンモール内)→温泉→定食屋

前回も書きましたが、僕らの日常の生活風景の中にそのまま溶け込んでもらうスケジュールです。鳥取に来てくれたからといって無理して何でも地元のもので固める必要はなくて、「鳥取」と「日本」をバランス良く混ぜ合わせて案内すればよいと思ってます。なので100円ショップや大戸屋など、チェーンのお店も普通にスケジュールに入れています。

ということで、2日目。この日の最初の予定は前日に決めていました。すなわち再び100円ショップに向かうというものです。前日あまりゆっくり買い物ができなかったので、「じゃあ明日もっかい来よっか」ということになったのです。で、2人を車に乗せてモールに向かうわけですが、朝ごはんを食べたか聞いてみると「まだ」と答えます。「何かどこかに寄って軽くつまめないかな」というリクエストだったので、目的地のすぐ手前にある地元の100円パン屋さんに連れて行きました。ここも、僕ら夫婦が普段から利用しているお店です。「実はこのお店も全部100円なんだよ」と伝えたら、2人ともびっくり&大喜びです。その様子が下の写真です。何かこのブログ上でスライドショーを作れるというのを今初めて知ったのでやってみました。

スライドショーには JavaScript が必要です。

他の写真もそうなのですが、この子達がモデルになるとどの店も急にオシャレ度が上がりますね。特にパン屋さんともなると、やはり本家ヨーロピアンの方が絵になります。でもこれ、例えばおにぎり屋とかに我々日本人がいるのをヨーロッパの人が見ても同じこと思うんでしょうね。「やっぱ絵になるわあ」と。お互い自分達が持ってないものはより輝いて見えますからね。そういえばこの2人も、鳥取に来る前に京都で古着の着物を買ったそうで、「外国人が着物とか着てるのって日本人から見てどう思う?」とマルレーナに聞かれました。「日本文化に興味持ってくれてるんだから普通に嬉しいよ」と、普段から感じているままを答えましたが、「外国人が着てて変だと思われないかな?」ってちょっとだけ思っていたようです。まあ人種によって体型・体格に多少の違いはありますから、より着物がフィットしやすい体型というのはあるとは思いますが、彼女達に関しては間違いなく似合うでしょう。

そんなわけで朝食に100円パンを買ったわけですが、そのまま目的地の100円ショップが入っているイオンモールに向かい、まだ朝で人もいないフードコートの席に座って食べました。「100円パン買ってジャスコのフードコートで食べる」という、オシャレ感も特別感も何もない行動ですが、これでいいのです。それに大事なのは、会話を楽しむことです。マルレーナが働いている航空会社のこととか、客室乗務員になる前の仕事のこととか、ヘレナの夏休みの予定とか好きな漫画とか、2人の地元の街のこととか、あるいは僕の仕事のこととか、僕ら夫婦がどのようにして出会ったかとか、そういう他愛もない会話をのんびり楽しむのが最もrelaxing(肩の力を抜いてのんびり楽しく過ごせる)なわけです。

朝食を終えたところで100円ショップに向かったのですが、その前に同じイオンモールに入っている本屋さんに立ち寄りました。マルレーナの好きな村上春樹の小説や、ヘレナの好きな漫画の日本版の表紙デザインをそれぞれ見せたりした後で、旅行ガイドのコーナーに行って2人の地元の街の情報を探しました。前の日に喫茶店でお昼と食べていた時に、スマートフォンで写真を検索して一緒に見ながら、彼女達の故郷ヴロツワフ(Wrocław)のことを色々教えてもらっていたのです。あまりにも素敵な街なので、僕も妻も瞬く間に魅了されて訪ねたくなってしまいました。もちろん大切な友人の故郷というのが一番大きいのですが、それを差し引いても魅力的な街です。というわけで、書店に入った僕らは『地球の歩き方』のポーランド(チェコとスロヴァキアと3カ国でまとめて1冊)を手に取って、ヴロツワフのページを色々解説してもらいながら一緒に捲っていきました。おそらくポーランドのガイドブックを生まれて初めて手に取りましたが、いざ見てみると、ヴロツワフに限らず素敵な街ばかりです。こういう機会もないだろうと思ったので、そのままこの『地球の歩き方』を購入しました。『地球の歩き方』シリーズを買ったのは、これが人生で2冊目です(1冊目は新婚旅行の計画用に買った「ブラジル」)。今までこの手のガイドブックって殆ど使ったことがなかったのですが、こうして色々捲ってみると悪くないですね。全てが載ってるとは勿論思いませんが、少なくともポーランド版に関しては地元出身の彼女達も納得の情報が載っていたようです。ついでに検索してみたら、ポーランド専門のガイドブックも見つかったので、こちらも購入しておくことにしました。まだまだ全然具体的な訪問計画はないですが、少なくとも本を持っている限り、少しずつ少しずつでも渡航に向けて色々な準備が整っていきます。

書店を出た後は、100円ショップの前にもう一箇所、別の店に立ち寄りました。ユニクロの姉妹ブランド「GU(ジーユー)」です。前日にマルレーナから「安い古着のお店ってある?」と尋ねられていたので、古着屋の代わりにオススメしたのです。ユニクロはもはやグローバルブランド化しており、マルレーナも普通に知っていましたが、姉妹ブランドのGUの方はやはり知りませんでした(現時点でGUの海外店舗はアジア地区のみで、西洋方面は研究開発拠点が今年ロンドンに設けられたばかり)。ちなみにこの鳥取のGUの向かいにはGAP(ギャップ)傘下のOLD NAVY(オールドネイビー)の店もあったのですが、同じ安価なお店でも、ここはせっかくなのでUSAブランドより日本のものをということで、GUを選びました。また同じ建物の2階にはユニクロの店舗もあったのですが、同じユニクロ系列でも海外の人にとってはちょっと珍しいGUの方が「掘り出し物感」を味わえます(例えて言えばZARAの代わりにBershkaで買う、みたいな)。2人とも安さに感動しながら、色々試着して買い物を楽しんでくれました。その後の100円ショップでの様子と合わせて、もうひとつスライドショーをどうぞ。

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そういえば2人とも背が高くて、妹のヘレナは170cm、お姉さんのマルレーナは180cmあります。「ファッションモデルとか興味なかったの?」とマルレーナに聞いてみましたが、「何言ってるの?」と笑い出すくらい意外な質問だったようで、「私とかただ背が高いだけだから絶対無理だよ。ていうか太いし」とのことでした。まあ本人が言いたいことはわかりますが(決して同意はしていません)、ファッションモデルの「非現実的」な痩せ方が見直されている昨今では、彼女達みたいなスタイルの方が遥かに健全で、文字通り「モデル」として適切な気がします。ちなみに洋の別を問わずファッションモデル一般の話をすれば、「非現実性」と「現実感」が絶妙に合わさったところに「モデル」の理想形があると個人的には感じています。あと長身と言えば、マルレーナは以前別の航空会社の面接を受けた時に「背が高すぎる」という理由で不採用になったそうです。プライベートジェット中心の小さな航空会社だったとのことですが、日本では身長が足りなかった側の話しか聞いたことがないので、色んなケースがあるんだなあと妙に感心してしまいました。

100円ショップの後は同じイオンモール内のスーパーでお土産用のおやつ(ポッキー等)とビール(もちろん鳥取の地ビール「大山Gビール」)を買って、昼食の回転寿司レストランへと向かいました。ヘレナはなぜかポッキーを知っていましたが、漫画か何かで読んだのかしら。謎です。

お昼に選んだ回転寿司屋は、鳥取人なら誰もが称賛するローカル回転寿司チェーン「北海道」です。以前県外出身の人が「せっかく地元の店なのに『北海道』って書いてあるから県外の人は分からない」と言っているの聞いてなるほどと思いましたが、鳥取県米子市発祥のお店です。そろそろこの記事も長くなってきたので、簡単に写真だけ載せておきます。

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刺身や生魚に抵抗はないようでしたが、やはりサラダ系とかロール系の方が手を伸ばしやすかったようです。朝食のパンがまだお腹に残っていたようで、あまり沢山食べられなかったのがちょいと残念でした。ところで回転寿司屋の選択は、この「北海道」にするか、エンターテインメント性重視で「はま寿司」等の全国チェーンにするか迷いましたが、このあたりは難しいところです。100円寿司に比べて値が張るので僕ら夫婦も客を迎える時以外は滅多と行きませんが、これまでのところ、特に日本人の訪問客はもう100パーセントこの店の大ファンになっています。逆に海外からのお客さんの場合は、どれくらい日本に詳しいかで判断は少し分かれるところかもしれません。

昼食の後は、本人達の希望でもう一度100円パン屋さんに寄って帰りのバス用のパンを買い、それから出発までは我が家でのんびりコーヒーを飲んで過ごしました。前日もそうだったのですが、2人ともうちの赤ん坊をそれはもう可愛がってくれて、順番に抱いてあやしてくれました。マルレーナとヘレナは10歳離れているため、ヘレナが赤ん坊の時はマルレーナがずっと面倒を見ていたらしく、完全に赤ちゃん慣れしていました。ついでにミルクあげるのまでやってくれました。

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姉妹揃ってポーランド語で色々話しかけてくれていたので、この子は生後2ヶ月半にして本物のポーランド語を直接自分に話しかけられる形で聴いたことになります。そう考えると不思議でもあり、ちょっと羨ましくもあります。

まあこんな感じで最後は出発時刻ギリギリまで皆で一緒にのんびりゆったり過ごして、それから鳥取駅前バスターミナルまで2人を送って行きました。

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もとはと言えば、飛行機の乗客と客室乗務員という、まさに一期一会の出会いでした。しかもマルレーナが勤務する航空会社には、全部で25000人もの客室乗務員がいます。もっと言えば、以前から日本に行きたがっていたという妹のヘレナの存在がなかったら、今回の鳥取での再会も実現していなかったことでしょうし、そもそもあの時僕らが連絡先を交換していたかどうかも分かりません。それにしても第一印象というのはやはり大切なもので、あの時直感的に「この子とは良い友達になれる」と感じた通りに動いたこと、それに彼女の方も直感的に応じてくれたことが、この度のかけがえのない2日間に繋がり、また今後もずっと続いていくであろう友情を生んだわけです。

こういうことがあるから人生は楽しいし、また旅に出かけずにはいられなくなります。同時に、故郷の魅力をもっともっと掘り下げていくことも改めて大切だと思わされます。

それにしても、久しぶりに丸2日間ほとんど日本語を使わずに過ごせたので、僕自身にとっても素晴らしいリフレッシュになりました。本当に来てくれてよかった。

再会の場所がドバイか、ヴロツワフか、はたまた日本かそれ以外か、今はまったく分かりませんが、そう遠くないうちにまた会えることを願って、ひとまず日常の営みにまた真摯に向き合っていこうと想います。

さて、随分長くなってしまいましたが、これにてひとまず「ポーランド姉妹の鳥取ツアー」シリーズ終了です。あ、前回最後に予告した「2人の故郷について」ほとんど具体的なこと書いてないの今気付きました。番外編としてブロツワフについて書こうかしら。写真で見ただけですが、とっても綺麗な街なんですよ。

最後にひとつ。余計なお世話かもしれませんが、皆さんも是非、旅に出かけた際、あるいは普段街を歩いている最中でも、ふいにピンとくる出会い、しっくりくる出会いに出会った時は、是非一瞬の勇気と共に行動し、一期一会を永遠の友情に変える働きかけを行ってみてください。決して特別なことではなく、誰にでも起こりうることです。僕自身、こんな感じで縁が繋がって今も続く友情をたくさん経験しています。というか、そんなんばっかりです。一方、これも併せて強調しておきたいのですが、行動はしてみたけれど何にも繋がらなかったことも同じくらい多々あります。ただ、そういう繋がらない出会いも多いからこそ、その中にたとえひとつでもふたつでも繋がるものが生まれると、その時人生はそれだけで深く豊かで幸福なものになりますし、この奇跡のような事実には、きっと誰もが心を温められるはずです。なので皆さんもぜひ、「その時」が来たと感じたら迷わず行動してみてください。素敵な時間の扉が開きます。

それではまた。