スペインから大ニュースです。現地時間11月17日、バルセロナ出身の小説家カルロス・ルイス・サフォンの最新作が遂に本国で発売日を迎え、書店に並びました。15年前に発表され、世界中が虜になった名作『風の影』に始まる四部作の最後の一冊です。タイトルは “El Labelinto de los Espíritus”、英訳すると “The Labyrinth of Spirits”、日本語なら『魂の迷宮』となるでしょうか。
改めて簡単に作家のご紹介すると、カルロス・ルイス・サフォンは1964年生まれの52歳。元は10代向けのミステリー小説作家としてキャリアをスタートさせました。同ジャンルで計4作の小説を発表した後に満を辞して世に送り出した本格的な長編小説『風の影』(2001年)で全世代の読者を魅了し、世界にその名が知られることになります。以下、Wikipediaの記事を引用します。
2006年の時点で17言語、37カ国で翻訳されており、スペインでの出版から早々に翻訳版が出されたドイツでは、当時の外相ヨシュカ・フィッシャーが本作を絶賛し、「サフォン・マニア」という言葉が生まれ、フランスでは2004年に最優秀外国文学賞を受賞、日本では「このミステリーがすごい!」の2007年(海外版)の第4位となるなど、世界各国でベストセラーになった。全世界で500万部以上を売り上げ、その影響により、次作「天使のゲーム」は初版100万部という史上最多の記録を樹立した。(引用元:Wikipedia)
日本で広く一般的に知られている作家・作品ではないかもしれませんが、実は当時から日本の読書界も含め非常に大きなインパクトで世界に受け止められていたのです。
僕が『風の影』と出会ったのは東京で暮らしていた学生時代です。今からちょうど10年前になりますが、当時よく入り浸っていた本屋さん(啓文堂書店吉祥寺店)でワゴンに平積みされているのがふと目に留まったのがきっかけでした。その場で何となく手にとって、その時に何を思ったのかは今となっては思い出せませんが、おそらく何かを感じたのでしょうね、そのまま買って帰りました。以来10年間、サフォンの虜です。『風の影』がその後も続く四分作の一作目にあたることを同書の訳者あとがきで知って以来、折に触れては「そろそろ次出るかな」と思ってネット検索し、やがて忘れかけた頃になってようやく発売され、即座に書店に走って買い求め、貪るように夢中で読む、というのが二作目、三作目と続いています。ちなみに二作目はスペイン語版、三作目はポルトガル語版をそれぞれ海外で先に入手していたので、日本語訳が出る前に読破しようと思っていたのですが、結局全然実行できずにどちらも邦訳版で読みました。ヘタレですね。なので(あるいは「にもかかわらず」)今度の最終巻だけはスペイン語版でまず先に読み通す、ということをしてみたいと思っています。幸い数ヶ月以内にバルセロナ訪問の予定が入っているので(人生初の欧州上陸!)、その時に必ず買ってこようと今から楽しみにしている次第です。今度こそ買って満足せずにちゃんと読むぞ。
そういえば、ひとつ嬉しいことがありました。新刊発売を報せるサフォン本人の公式ツイッターアカウントを見てすっかり嬉しくなってしまった僕は、そのニュースとファンとしての想いを発信すべく、随分久しぶりに自分自身も日本語でツイートを掲載しました。
待ち焦がれた瞬間が遂に。カルロス・ルイス・サフォン(@ZafonOficial) による「忘れられた本の墓場」四部作の最後の作品 #ElLaberintodelosEspíritus がいよいよ発売。結局過去三作は邦訳版で読んじゃったけど、今度こそはまずスペイン語で読み通したい。 https://t.co/81JVxcX5uL
— Taka Sakamoto (@grantottorino) 2016年11月17日
新作が待ちきれなくて発売と同時に書店に駆け込んでしまうような作家って、考えてみればもうサフォンくらいしかいない。読もうと思って読めていない作家や作品なら古典も含め幾らでもあるけれど、存命で活躍中の作家で、となるともはや彼だけになってしまった。今の人生にとってあまりにも貴重な存在。
— Taka Sakamoto (@grantottorino) 2016年11月17日
で、その後にふと思い立って、スペイン語でもコメントを書き込みました。
Finalmente!! No puedo esperar a leerlo. Mando un abrazo muy fuerte al gran autor desde Japón. #ElLaberintodelosEspiritus https://t.co/z5S4craOZg
— Taka Sakamoto (@grantottorino) 2016年11月18日
訳すと「遂に!読むのが待ち切れない。偉大なる作者に日本より熱き抱擁を。」という内容です。 お察しの通り、サフォン本人に届くかなーという淡い期待も持ちつつ送信しました。日本にも新作発売を待ち焦がれていた熱心な読者が存在している事実を伝えたいと。するとどうでしょう。昼寝をして起きてみたらスマホにお報せが届いていて、本当に本人のアカウントから僕のツイートに「いいね」が返ってきたではありませんか。
これはもう、いちファンとして純粋に嬉しかったです。ありがとうサフォンさん(あるいはツイッターアカウント担当の広報スタッフさん)。
しかしあれですね。まだ手にも入っていないサフォンの新作が出たというだけで、随分更新していなかったツイッターとブログをいきなり同時に更新してしまいました。
というわけで、「サフォン」「サフォン」と散々ここまで繰り返されて、ちょっとでも気になった方がいらしたら、どうか騙されたと思って彼の作品を読んでみてください。現時点で日本で発売されているのは前述の四分作のうちの三作になるのですが、実はどの作品から読んでも問題ないように書かれています。とはいえやはり、最初に読むなら世界を魅了した名作『風の影』がオススメですので、改めてリンクを貼っておきます。肝心の本の内容をここまで全く書いてなかったことに今更気が付きましたが、リンク先に作品のあらすじも書いてありますので、チェックしてみてください。
集英社
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最後の最後に、この度の新刊発売に際してサフォン本人から読者に宛てたビデオメッセージを載せておきます。スペイン語学習者の方は是非。
En un día tan especial, Carlos Ruiz Zafón tiene un mensaje para todos vosotros. pic.twitter.com/6FwEQGuPgi
— Carlos Ruiz Zafón (@ZafonOficial) 2016年11月17日
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