「リベラルアーツ」という言葉をご存知でしょうか。日本では「教養教育」「一般教養」などと訳されることの多い言葉ですが、今回はその原義について簡単に確認します。
「リベラルアーツ」とは、英語の「liberal arts」をカタカナ表記した言葉です。元はラテン語の「artes liberales」からきているのですが、今回は英語の liberal arts をベースに考えます。
まず「liberal」と「arts」という2つの英単語それぞれの意味を確認しておきます。どちらも様々な意味とニュアンスを含む単語ですので、ここでは「liberal arts」に関係する意味だけを書くことにします。
liberal[形容詞]自由な、自由人の
art(s)[名詞]技術・技芸・わざ
一般に art といえば「芸術」のニュアンスの方が日本では広く知られていますが、この単語には広く「技術」や「わざ」を指す意味もあって、例えば社会心理学者エーリッヒ・フロムの著書『愛するということ』(鈴木晶訳)の原題は “The Art of Loving” です。これは「愛の芸術」ではなく「愛するという技術」を意味します。
というわけで liberal arts という言葉ですが、上に紹介した各単語の日本語の意味を組み合わせると、そうですね、例えば「自由人の技術」という訳が可能です。自由人の技術。何だか分かるような分からないような、ですね。
ここでWikipediaを引いてみましょう。Wikipediaの使用には一定のリテラシー(情報読解力)が求められますが、使い方さえ心得れば実に有用なツールです。そこでは liberal arts の原義をこう説明しています。
リベラル・アーツという表現の原義は「人を自由にする学問」であり、それを学ぶことで一般教養が身に付くもののことであり、こうした考え方の定義としての起源は古代ギリシアにまで遡る。(Wikipedia「リベラル・アーツ」より。太字は引用者による)
いかがでしょうか。リベラツアーツとは「人を自由にする学問」であり、「それを学ぶと一般教養が身に付くもの」だそうです。これを先程の「自由人の技術」という直訳のフレーズと組み合わせると、その内容がもう少し明確になってきます。つまり以下のように考えれば間違いなさそうです。
リベラルアーツ = 人を自由にする知的技術・教養
あるいはそれらの知的技術・教養を身につけるための学びの総称、とも言うことができます。
というわけで、基本的定義は確認しましたが、その具体的な中身についてはこの説明だけではまだ見えてこないことと思います。もう少し詳しく説明する必要がありそうですが、今回はいったんここで記事を閉じます。
それではまた。