スペイン語学習者でポルトガル語も同時に学んでみたい方、あるいはポルトガル語学習者でスペイン語も同時に学んでみたい方って、実は少なからず存在するんじゃないでしょうか。サッカー関係者なら言うに及ばずでしょうし、そうでなくても同じラテン系で、しかも互いに似通っているこの2言語を、できることなら同時にマスターしてみたいという気持ちを持つのは自然な感情でしょう。
そんな方のために、今回は素晴らしい参考書を1冊ご紹介します。こちらです。
ズバリその名も『スペイン語・ポルトガル語比較対象文法』。文法構造上大変似通っているこの2つの言語を各文法項目ごとに見開きで左右に並べて解説するという、ありそうでなかった素晴らしい一冊です。全編通して左側にスペイン語、右側にポルトガル語というレイアウトが徹底されているので、大変使いやすいです。こんな感じです。
細かく見ていくと「互いに直訳に近い形で掲載されているが実際に多用される言い回しは少々異なる」という例が幾つかあるようですが(ブラジル人の方にこの本を見せた時に、ポルトガル語の表現に関して幾つかそういう指摘がありました)、それでも同書が2言語同時学習の参考書として極めて貴重であることには変わりません。またそのブラジルの方が指摘されていたのは、接続法など比較的複雑な文法を用いた例文がほとんどで、基礎レベルに関しては特にそういった問題はないと思います。
何より、見開きで比較することで、この2言語が如何に似通っているかを体感しながら学ぶことができます。いきなり覚えることは考えず、まずは互いの例文の言葉の並び方や綴りを眺めて、その酷似っぷりを鑑賞して楽しんでみてください。そうかと思えばいきなり全然違う単語や言い回しを使うケースもチラホラあったりするので、なかなか面白いです。そうやって違いや共通点を探して楽しんでいるうちに、やがてどちらも少しずつ馴染んできます。
ちなみにCD等は付いていないので、例文の発音に関してはネイティブの人にお願いして呼んでもらうか、ウェブ等を使って音読させるか、になりそうですね。基本的には目で見て読んだり、辞書的に使う参考書だと思って使えばよいでしょう。発音に関しては無理にこの本でなくても色々方法はありますし。
最後に重要なことを書きますが、この本の版元である国際語学社という出版社、タイ語を中心に他にも多くの語学参考書を出していたのですが、何らかの理由により昨年倒産してしまったようです(関連記事はこちら)。よって今回ご紹介した本も、今後版を重ねることはおろか、既に発行された分についても一般書店に並んでいる可能性は極めて低いです。幸いアマゾンには中古本が10冊以上出品されているので(2017年5月22日現在)、今必要な方はもちろん、将来的に必要になりそうな方も早めに購入しておくことをオススメします。
というわけで、リンクを貼っておきます。ご興味のある方は是非。
国際語学社
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