キナ・グラニスを知っていますか?

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キナ・グラニス(Kina Grannis)というアーティストをご存知でしょうか?

ロサンゼルス在住のシンガーソングライターで、日本でも2012年にアルバムが発売されています。1985年生まれで、お母さんは日本の方です。キナという名は、お母さんとおばあちゃんの名前の最初の1文字を足したものだそうです。

今から6〜7年程前にインターネット上でその存在を知って以来ちょくちょく彼女の曲を聴くようになり、じわじわと好きになって気が付いたらファンになっていました。当時、世界中の色んな人が『上を向いて歩こう』を歌っている動画をYouTubeで色々探しては聴くのが僕の趣味のひとつで、キナはその時に見つけた中の一人でした。こちらの動画です。

この曲がきっかけで他にも探してみたら、他にも僕が好きな曲をカヴァーしていたので併せて聴くようになりました。それがこちらの『Say』という曲。

これらの動画がきっかけで彼女の個人サイトを訪ねてみたら何か自分の力で色々頑張っている様子で、何となく応援したい気持ちになったのを覚えています。自然体で好きに歌っている感じが好印象だったのかもしれません。

その後、僕がメキシコで暮らしていた2010年2月、彼女が遂にオリジナル曲の本格的なミュージックビデオをYouTubeに投稿しました。こちらです。

はっきり憶えていませんが、おそらくこの動画を観た時から僕は完全に彼女の大ファンになった気がします。手作りを大事にする彼女のセンスとスタイルが凝縮された映像と、自然体で等身大の歌声が、心地よい安心感を感じさせてくれるのです。

オリジナル曲でもクオリティを示した彼女は、さらに同年12月にはこんなカヴァー動画を投稿しました。ケイティ・ペリーの『Firework』です。

原曲のケイティ・ペリー版をご存知の方には驚きのスローカヴァーだと思います。同じ「Firework(花火)」でも原曲は曲もビデオも勢い盛んなロケット花火みたいな感じで表現されているのに対し、このキナ版には線香花火のような優しさと儚さがあります。すごい解釈力です。このカヴァーでもって、僕は完全にこのアーティストに惚れました。

その後も彼女が投稿するミュージックビデオのクオリティは上がる一方で、翌2011年にもめちゃくちゃオシャレな作品を2本YouTube上でリリースしました。

1本目がこちら。

曲名は『The One You Say Goodnight To』。少し意訳になりますが『あなたの「おやすみ」が聞きたい』という意味です。

続いて2本目。こちらのビデオはもう圧巻です。

ジェリー・ビーンズ288000粒を使った映像。彼女のスタイルがひとつ極まった感のある作品でした。このビデオが出た頃、僕は大学8年生として寮生活を送っていたのですが、同じ寮に暮らす後輩達を捕まえてキナの魅力を様々な動画を見せながら日夜語り続け、彼らもすっかりファンになりました。この後輩のお陰で僕は翌年、キナと直接会う機会にも恵まれました。

翌2012年春、キナの日本メジャーデビューが決まって来日ショウケースが行われことになったことと、Twitterでその観客の抽選が行われることを後輩が先に発見し、一緒に応募した結果、僕は落選して彼が当選したのです。それがペアでの招待だったため、僕は彼に連れて行ってもらうことで尊敬するアーティストとの対面を果たすことができました。色々話しておくものですね。当日は僕なりの敬意と日頃の感謝を伝えたかったので、パフォーマンス終了後にトトロのキーホルダーをプレゼントしました(ジブリのファンだそうです)。帰り際にも二言三言会話したのですが、YouTubeで見せる姿と変わらない自然体でフレンドリーな人柄で、改めて魅了されました。ネットで買っていたUSA版のアルバムジャケットにサインも貰ったのですが、このアルバムは僕が後に鳥取で寺子屋を開いた時にディスプレイとして飾った他、BGMでも流したところ生徒達には大好評でした(下の写真左上のCD)。

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キナのミュージックビデオは他にも色々ご紹介したいものがあるのですが、キリがないのでこれくらいにしておきましょう。現在彼女は私生活のパートナーにも恵まれ(お相手もミュージシャン)、変わらずマイペースで活躍を続けています。

そんな彼女についてもうひとつだけ、僕が心底尊敬している部分について書いておきます。実は彼女、これまでの音楽キャリアや活動の全てを、大手レーベルの力に頼ることなく自分の手で作り上げ、また切り拓いてきたのです。もともとYouTubeを主要な発表メディアとしていた彼女は2008年、ミュージックビデオの全米オーディションで見事優勝を果たし、メジャー契約を勝ち取ってスター街道の入り口に立ちます。ところがシンガーソングライターとして既に持ち歌もビジョンも哲学も持っていた彼女に対し、レーベル側は自社が用意したプロデューサー、作曲家等のもとで曲作りを行うことを要求します。悩んだ彼女が既にYouTubeを通じて抱えていた沢山のファン達に相談したところ、ファンの多くが彼女が自分のスタイルを通すことを圧倒的に支持し、それに励まされたキナは掴んだばかりのメジャー契約を辞退し、自らレーベルを立ち上げるのです。アルバムの制作・販売も自ら行い、曲はYouTubeで発表するスタイルに戻った彼女は、なんとこのやり方で次々にツアーを実現・成功させるのです。活躍は米国内に止まらず欧州でもツアーを行い、前述したように日本でもメジャーデビューを果たし、現在は東南アジアツアーを行っています。

自由に表現し、それを愛するファンに支えられ、お互いに幸福な関係で彼女の活動は続いていくという、アーティストの在り方として完璧と言っていいほどの理想的な姿です。彼女の勇気ある自然な生き方を、僕は心底尊敬しています。

この国最大のメジャー都市である東京を離れて日本一人口の少ない鳥取を再び生活拠点に選んだ自分にとって、キナ・グラニスというアーティスト(生き方)は最高のロールモデルでもあります。僕もこの小さな街をベースにしながら世界各地と繋がって活動し生きていくことを目指す上で、キナの存在は大きな励みになっているのです。いつか鳥取にも呼びたいですね。

以上、シンガーソングライター、キナ・グラニスの話でした。彼女の魅力と偉大さが伝わったことと思います。僕もキナスタイルを参考にしながら頑張ります。


【キナ・グラニスのCDアルバム】

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日本デビュー盤『STAIRWELLS』

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『STAIRWELLS』USAオリジナル盤

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最新アルバム『ELEMENTS』日本盤