映画『孤独のススメ』を観ました

sapmat2

映画『マッターホルン』を観ました。日本では『孤独のススメ』というタイトルで公開された作品で、僕もそのタイトルがついたDVDを借りてきて観たのですが、率直に言ってこの邦題は内容と全く一致していません。鑑賞した上での感想としては原題の『Matterhorn』すなわち『マッターホルン』でそのまま呼んだ方が明らかにしっくりくる作品でした。実に勿体無い。ちなみにオランダ映画です。考えてみればオランダの映画って生まれて初めて観ました。こんな話です。

オランダの田舎町で単調な独居生活を営む年配の男性が、町内に迷い込んだ不思議な男を家に住まわせる。

予告編もあるのですが、ちょっと内容を見せ過ぎなので紹介しません(観たい人だけYouTubeで探してみてください)。その代わりに、鑑賞後の感想を箇条書きで並べておくことにします。

・世界観がヨーロッパ映画らしい感じの作品だった
・「田舎」というのはどこの国も似たようなものなのだなあ
・信仰を第一として生きる人間の本音と建前、克服できない弱さとの葛藤
・ある登場人物が歌う “This Is My Life”が素晴らしくて鑑賞後すぐ探して聴いとる
・ラストが素晴らしい
・静かな映画にしかない静かで深い沁み方で魂に届く作品

地味でしかもクセのある映画なので好き嫌いは分かれるかもしれませんが、間違いなく「名作」の部類に入る作品です。欧州を舞台にした欧州人の物語ですが、日本人が観ても強いリアリティを感じる内容です。町の教会が象徴する「秩序」「世間」「権威」に個人が立ち向かう物語でもあるこの映画は、『嫌われる勇気』『本音で生きる』といったタイトルの本がベストセラーになる日本でも、多くの人が当事者的共感を覚え、勇気を貰うことでしょう。

また、個人的にはクリスチャンの人にも是非観て欲しい映画だと感じました。この映画の主人公2人が下した決断と「誓い」を神様はどう受け止めるだろうか、というテーマで是非自由に話し合ってみてほしいと思います。礼拝後に教会から出てくる信徒の皆さんの表情に強いメッセージ性を感じる作品でしたが、なぜ皆が「ああいう表情」なのかを考えてみるのも面白いでしょう。

あとは上にも書きましたが、ラストが素晴らしかったです。終盤の展開は思い出しても鳥肌が立ちます。僅か86分の短い映画ですし、一度観てみても損のない作品です。観る者の価値観を揺さぶる力を持つ映画というのは素晴らしいです。

というわけで邦題『孤独のススメ』、原題『マッターホルン』オススメです。


孤独のススメ [DVD]

孤独のススメ [DVD]

posted with amazlet at 17.01.21
Happinet (2016-11-02)
売り上げランキング: 68,595