1年遅れのバルセロナ訪問記シリーズ、今回はピカソ美術館について書きます。忘れもしない2017年1月2日、僕は昔から一度行ってみたかったその場所を遂に訪れたのです。
このバルセロナ滞在は、知人の個人旅行のアテンド&通訳として連れて行ってもらった形でしたので、原則としてその方の予定に合わせて行動を共にする旅でした。しかしながら「現地の書店」「サグラダファミリア」「ピカソ美術館」の3つだけはどうしても訪ねておきたかったので、お願いしてスケジュールに入れてもらいました。この3つのうち、書店とサグラダファミリアの2箇所は先に訪問を実現しました。書店では大好きな作家カルロス・ルイス・サフォンの発売されて間もない最新作や、息子のためのスペイン語の絵本やらを購入しました(息子はメキシコの血を引く、いわゆるクオーターなので、一応スペイン語にもちょいちょい触れさせる方針)。またサグラダファミリアは中にまでは入りませんでしたが、1回目の訪問ということもあり、外から眺めるだけでもお腹いっぱいでした。
そして迎えた1月2日。タクシーに乗って、遂にピカソ美術館が佇む路地の前まで辿り着きました。日本のような正月という風習が存在しない欧州においても元日くらいは休むんじゃないかと思い、2日を選んだのです。実質滞在期間が12月30日〜1月2日という旅でしたので、最終日にあたる日です。それはもうドキドキしながらタクシーを降りました。
ちなみに、そもそもこのピカソ美術館の存在を知ったのは僕の父がきっかけでした。TVディレクターの仕事をしていた彼は、僕がまだ小学生だった1992年、バルセロナ五輪の取材で現地に1ヶ月程滞在したことがあったのですが、その際の休みを利用して同美術館を訪ねたのだそうです。会話の中でバルセロナの話題が出るたびに、彼はこの美術館の魅力を僕に語っていたのですが、その中でも必ず2つのことを強調するように話していました。ひとつは、そこに展示されているのが、我々が一般にピカソの名を聞いて思い浮かべるような有名な作品群というよりは、若かりし頃からの画家としての軌跡を追うような形での展示となっていて、それが大変素晴らしかったこと。もうひとつは、20世紀最大の画家と称して差し支えないピカソの美術館だというのに、路地に隠れるようにして街に溶け込んでおり、その佇まいにある種の深い感銘を受けたこと、です。ですので、僕が人生初のバルセロナ訪問を迎えるにあたって、このピカソ美術館にだけは足を運ぶことを父からも強く勧められていたのです。
また、絵描きだった僕の母もピカソこそ最高の画家だと話していたこと、そういう事情もあって実家の壁にピカソの作品のポスターがずっと飾ってあったことなども思い出して、やはりここだけは必ず訪ねておこうと決意したわけです。
そういう家庭環境の影響も受けつつですが、今となっては他ならぬ僕自身もピカソの作品は大好きでしたので、いずれにしてもこの美術館を訪ねない理由は存在しませんでした。
というわけで、受け継がれた父の言葉・母の想いと共に僕はタクシーを降り、上の写真の角に立ちました。そして「MUSEO PICASSO(ピカソ美術館)」の文字を確認すると、父が話していた通りの「思わず気が付かずに通り過ぎてしまいそうな路地」を、一歩一歩踏みしめながら進んでいったわけです。
そこで僕が見た風景を、写真でお見せすることにします。
こちらの写真です。
休館日でした。
大事な情報なのでここでしっかりお伝えしておきます。
バルセロナのピカソ美術館は、毎週月曜は休館日です。
くれぐれも月曜に訪ねることのないよう気を付けて下さい。
次回は僕も気を付けます。