鳥取市内のステキな中高一貫校、青翔開智中学・高校にて昨秋から講師の仕事をしていたのですが、今週の最終授業で一区切りを迎えました。内容は「リベラルアーツ」をテーマに、全教員向けの研修を1回と、中学生向けの講座を全6回実施するというものです。個人的には随分久しぶりの学校でのお仕事だったので、最初はドキドキしましたが、いざ始めてみると、とても懐かしく、またある意味でとても新鮮な気持ちになれた全7回でした。
特に中学生対象の講座の方は、1〜3年生まで学年がバラバラの約10名を相手に「学ぶことの楽しみ・喜び」を伝えるという、極めて刺激的かつ挑戦しがいのあるテーマをいただきました。毎回何をしようか直前まで頭を悩ませながら教室に向かいましたが、生徒達がとても協力的で、色々発言してくれたりもして、結果的には笑いの絶えないクラスになりました。少なくとも僕はやっていてとても楽しかったですが、生徒達にとっても同様に楽しく、また刺激的な時間であったことを願うばかりです。
今回の講座に関しては、「リベラルアーツ」という抽象度の高いテーマをどう料理して中学校の教室で展開するか、というのが最大の肝でした。テーマ自体の抽象度は高くても、現場で実際にそれを伝えるには必ず具体的な何かが必要とされます。また、抽象度が高ければ高いほど、それを何らかの「具体」に落とし込むために必要な知的作業が増えることになりますが、ここをサボらず丁寧にやり切ることが、質の高い内容を生み出すことにも繋がります。これがなかなか難しく、骨が折れます。
また、中学1〜3年生という、学力・知識の程度や前提がバラバラな約10名を相手にする以上、どうしても最大公約数的な内容の授業にしていかないといけませんし、その最大公約数を探し当てること自体も必要になってきます。1回60分の授業でそれらを探り、かつ同時進行で内容をまとめていくのもなかなか刺激的な挑戦でした。
と、考えることは色々あったのですが、最終的にこの度の授業においては、「身の回りのどんな場所でも、新たな学びや出会いのきっかけに溢れている」という、この単純な真実をいかに実感と共に認識し、実際の行動に繋げてもらうかということに的を絞って、あの手この手で伝えていく方向性を選びました。実際にやってみた実感としては、ポジティブな感触も間違いなくありましたが、一方でやはり反省点・改善点も色々浮かんできます。この辺は答えのない世界なので、自問自答を続けていくしかありません。
生徒達は皆、根が素直で優しい、いい子達ばかりでした。昔からそうですが、生徒達の眼差しに接していると、自分自身の在り方を問われます。自分が生徒だった時もそうでしたが、おそらく向こうが想像していた以上に、我々生徒は「先生」のことをよく観察していました。大人と呼ばれる年齢や格好になり、かつてのそれと同じ眼差しを自分が向けられるという体験は、良い意味でのプレッシャーを与えてくれます。彼ら彼女らを何らかの意味で魅了できるような「面白い大人」「クレイジーな大人」そして同時に「信頼できる大人」「尊敬できる大人」でありたいと、心を新たにさせられます。というわけで、名前は書かないけれど、今回教室で出会った生徒のみんな、ありがとう!
最後に、青翔開智中学・高校の織田澤さん&田村さん、この度は貴重な機会をありがとうございました。よろしければ、いつでもまた呼んでやってください。再オファーお待ちしております(笑)。
【追記(2023.5.9.)】
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